インテリジェンスの難しさ

昨日に比べると、一段と風邪から回復したようです。
やはり、何事も体が資本ですね。


昨今では情報機関の重要性が過去に比べよく言われるようになりました。
孫子の時代から情報は重要であるといわれているのですが、実際のところは上手くいかないようです。
なぜなら、それをいかに取得するか、得られた情報は本当に正しいのか、
いかに活用するのかが結局のところ問題となるわけです。


"Intelligence" は日本語ですと単に「情報」となってしまい、"Information" や "Data"の
意味する内容と区別がつかないのですが、

"Intelligence" は "Information" や "Data" を取捨、選択、加工し、
判断の材料として使用することを目的にした情報です。
一方、"Information" や "Data" は、あくまで情報(Intelligence)のための情報資源だといえます。


例えば、科学の実験で得られた数値はまさに文字通り "Data" です。
そして、それを定理や数式で加工し、意味のあるものに変換したものが "Information" です。
 (例えば得られた物質の質量から、分子量など計算によって求められるものに相当)
さらに、これらの情報資源を活用し、結局のところ実験から何が明らかになったのか、
それをどのように生かすことが出来るのか考察を含めたものが "Intelligence"だといえます。


さて、今日は本棚の奥で埋もれていたものを発掘して参りました。

仕事に役立つインテリジェンス (PHP新書)

仕事に役立つインテリジェンス (PHP新書)

著者は外務省出身のいわゆるインテリジェンス・オフィサーです。
著述スタイルは理論的であり、組織論や分析の方法論、情報史に関する事柄が多いです。
 (「知り合いの●●によると・・・」という怪しさは全くないのでご安心を)



この本の結論は終章にまとめられているので、時間の無い方はこの部分を読むだけでも
著者の主張するエッセンスを理解することが出来ます。

簡単にまとめるなら、
1.情報は集めることも重要ではあるが、それ以上に分析が重要
2.分析は「サイエンス」と「アート」の両方を活用し補うことが肝要
3.分析に当たって、直観の使用を恐れない
4.ただし、直観によるバイアスを避ける努力を欠いてはならない

そのバイアスに関して第三章で詳しく解説しています。
代表的なものとして、「ベースレートの過信」と「ギャンブラーの過信」を挙げており、
ものすごく簡単に言うのであれば、そもそもの出発点としてそれが起こる確率を無視して
判断してしまうことなんでしょうかね。


そして、それらの落とし穴を避けるための方法が、「ベイズの定理」の思考方法と「競合仮説分析」を
導入することである、というのが著書の内容です。


非常に参考になる本なので、ぜひ興味関心が引かれた場合をご購入を。
新書なのでお手ごろです。


今手元にあるもので、他のインテリジェンスの理論・歴史などの書籍はこれでしょうか。
インテリジェンスの理論

インテリジェンス入門―利益を実現する知識の創造

インテリジェンス入門―利益を実現する知識の創造

インテリジェンスの歴史
インテリジェンスの歴史―水晶玉を覗こうとする者たち

インテリジェンスの歴史―水晶玉を覗こうとする者たち

戦前の日本軍のインテリジェンスに関する専門書
日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)

日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)

海上自衛隊防衛省情報本部出身の方が執筆した書籍
「情報」と国家戦略

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インテリジェンスと国際情勢分析

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日本人は戦略・情報に疎いのか

日本人は戦略・情報に疎いのか

陸上自衛隊出身の方の本


興味のある方はぜひ。