ネオクラシカル・リアリズム6

vassal_hiroです。連休も既に半ばに達しました。なんだかんだいって金曜の夜から昨日の夜までの連休は遊び倒してます。今日から平常モードにしようかとおもってます。

本も買ってしまいました。この前に購入したものの、下巻に当たります。なかなか大きい出費です。

CODE COMPLETE 第2版 下 完全なプログラミングを目指して

CODE COMPLETE 第2版 下 完全なプログラミングを目指して

財務諸表を少し勉強しようと思い購入。小宮さんの本は割かし読みやすいので、今までにも結構買ってます。


これ以外にも積読状態の本があるので、残りの連休はこれらを消費する予定です。・・・数が多いので終わるとは到底思えないのですが(汗



さてさて、本題のリアリズム論も、今回の更新を含めて残すところあと三回で終わる見込みです。週一ペースで書いているので進展は遅いのですが、あらためて振り返ると結構な分量になってますね。リアリズムの次はOODAループ意思決定論かビジネス・インテリジェンス論を書こうかと考えているところです。全然知識ないんですがね!(汗) まぁ、このサイトのタイトル自体が学習帳な訳ですから、つたないことでも勘弁していただけると助かります。


では前回の続きを。
ネオリアリズムと国内政治2
クリステンセンの分析プロセス

クリステンセンの国内動員モデルは、動員に対する政治的な障害の高低を決定する媒介変数が存在します。政治的な障害の高低は3つの要素によって決定されるようです。

1. 政府が税金のレベルを上昇させ維持する能力
2. 歴史的な観点における安全保障政策のコスト
   ―国際的な挑戦の性質と即時性、そして過去に同様の挑戦を受けたときの対応を
    比較した結果、指導者が選択した政策のコストを意味する―
3. 選択した大戦略の政策に関する目新しさと顕著な歴史があること
   ―政策の目新しさと歴史の教訓を意味する―

この政治的な障害を上下させる媒介変数であり、クリステンセンはこの変数をナショナル・ポリティカル・パワー(national political power)と呼んでいます。ナショナル・ポリティカル・パワーとは、政府の指導者が安全保障政策の主導権を裏付ける国家の人的、物質的資源を動員する能力のことです。クリステンセンによると、政府(state)とは国家(government)に所属するエリートたる対外政策の指導者から構成されているようです。つまり、国家を単一のアクターとして見るのではなく、いくつかのアクターからなる存在とみなしていることが特徴ですね。


シュウェラーの分析プロセス

Unanswered Threats: Political Constraints on the Balance of Power (Princeton Studies in International History and Politics)

Unanswered Threats: Political Constraints on the Balance of Power (Princeton Studies in International History and Politics)

シュウェラーは国内政治の政権が脆弱である場合、脅威に対して効果的な対抗措置(バランシング政策)をとることができないと主張しています。政策決定者の観点からすると、パワーが優越している相手に対してバランシングすることは、潜在的な政治的コストと不確実な政策のリスクを抱えてしまいます。大衆政治の時代では、軍事的手段や同盟によるバランシング政策を実行するためには非常に多くの政治的アクターを動員する必要があります。このため、政治的エリート達はバランシング政策の国内的なコストをその他の政策を比較するようになります。
これらの政策のうち、シュウェラーは特にアンダーバランシング(underbalancing)のような不完全な対策(underreaction)に着目しています。シュエラーによると、国家が相対的パワーの危険な変化に対する不完全な行動をとってしまう理由は2つあるようです。

1. アクターの選好性がバランシング政策を打ち出すことに否定的な場合
  ―この選好性は主に国内政治よって影響される―
2. バランシングすることの潜在的国内政治上のリスクとコストが非常に高い場合

シュウェラーの理論では、独立変数は地政学的リスクと機会となります。これらの変数は、物質的な国際システムの分析によって求められます。つまり、シュウェラーの理論の独立変数は国際システムのレベルにあるということになりますね。そして、シュウェラーは媒介変数として国内要因を考慮に入れています。シュウェラーによると、媒介変数は4つの要素からなるようです。

1. エリートのコンセンサス
2. 政府あるいは体制の脆弱性
3. 社会の結束の度合い(ようするに分裂していないかどうか)
4. エリートの結束の度合い(同上)

エリートのコンセンサスと結束の媒介変数は、バランシング行動をとる意志に対して重要な役割を果たします。また、政府あるいは体制の脆弱性と社会の結束の媒介変数は、バランシング行動をとるための資源を抽出する政府の能力に影響を与えます。
国際環境から対外政策へ至る論理のプロセスに関しては、まず相対的パワーの変化が議論の出発点となっていることが特徴です。そして相対的パワーの変化は、脅威に対するエリートのコンセンサスと結束に影響を与え、政府の脆弱性と社会の結束の関数としての動員の程度によって政策が左右され、対外政策の継続あるいは変化に影響を及ぼすという流れになります。



さて、次回はネオクラシカル・リアリズムと個人になります。
ではでは。