分析のレベル

vassal_hiroです。


私事ですが、最近保存食の在庫処分中です。
保存食は日持ちするので、ついつい奥にしまったままにしてしまいがちなので、
いつも賞味期限が近くなってしまう私です。


ということで、昨日はなぜか保有していたホットケーキ・ミックスを使用しました。
ホットケーキはおいしいのですが、いかんせん調理時間が結構掛かるのが難点です。
そして本日はシーチキンをチャーハンの具として使用しました。
ただ、シーチキンの缶詰はあと10個くらいあるので、どうしようか考えているところです。
どなたか有効な調理法をご存知ないでしょうか。


さて、今回は分析のレベル(Level of Analysis)について書こうと思います。
この分析のレベルは国際関係論の理論的な派生にもかかわってくるため、かなり重要なテーマです。
分析のレベルとは、国際関係を説明する際に着目する階層だと思っていただいて大丈夫です。
このテーマでは、やはりケネス・ウォルツ(Kenneth N. Waltz)を避けては通れません。
ウォルツはMan, the State and War: A Theoretical Analysisの著書で
三つのレベル(ウォルツ自身はイメージと表現)で国際関係(国際政治)を説明することを提案しています。

Man, the State, and War: A Theoretical Analysis

Man, the State, and War: A Theoretical Analysis

第一イメージは個人、第二イメージは国内政治、そして第三イメージは国際システムということです。


例えば、現在のアメリカの外交政策を説明する際にオバマ大統領の認識や個人的な経験を中心に
すえたものが第一イメージ論です。第一イメージ論は基本的に人間に分析の焦点を当てています。
このレベルの場合、紛争が起こる原因は人間の本性や誤認であると考えるため、その処方箋は人間の
道徳の向上や現政権のトップの交代(暗殺?)、あるいは誤解を生まないシステムを導入することに
なります。個人レベルで説明することは一見分かりやすいようですが、実際問題個人の認識の情報を
取得することが困難であり、かつ認識を正確に捉えたとしても政策にいかほどの影響を与えたのか
不明であるという欠点があります。


他方、第二イメージ論では、アメリカ民主党の国内経済の保護主義的性質、あるいはGM
クライスラーなど国内の有力な集団、上院下院、官僚組織やシンクタンクなどが政策決定プロセスに
果たす役割から国際関係を説明するものだといえます。このレベルでは、紛争は国内政治、つまり
国内政治の一部集団の独走や政府の欠陥により起こると考えられるため、その処方箋は現政府の
解体・再構築であったり、国家の構造を変えることになります。第二イメージ論の問題点は、似たような
国内政治状況に置かれた国家が異なる行動を取る際に説明できないことや、国内政治のみで
国際関係を説明することは「還元主義」であるという批判もあります。


そして第三イメージの場合は国際システムの構造が国家間で紛争を引き起こす原因となります。
つまり、全ての大国に対して強制力を持って調停できる国際機関が存在しないアナーキーが原因である
ということになります。現実問題としてそういった機関は今後も登場しないであろうことから、
国際システムにおける国家間のバランスを調整することで安定させることが処方箋になります。
第三イメージ論の特徴的なことの1つとして、国家の内部や国家の善悪を一切考慮しないことにあり、
つまるところ物質的な軍事力(そしてそれを支える経済力、人口など)で分析することにあります。
その反面、国家のパワーの大小のみで説明しがちであるため、実際の国際関係の動きと理論的な予測が
乖離してしまうことがあります。


要するにどのレベルで国際政治を説明するにしても一長一短があるということです。
ジョセフ・ナイは第三イメージで説明できない場合に第二イメージを使用し、さらに第一イメージの
分析も加える手法で『国際紛争』を書いています。つまり、必要に応じて説明するレベルを組み合わせる
ことがベターみたいです。

国際紛争―理論と歴史

国際紛争―理論と歴史